日本は世界の中でも治安の良い国の一つです。日本の安全に慣れ親しんだ日本人が、海外へ渡航した時に、予想もしない事件・事故に巻き込まれるケースが非常に多くなっています。本ページでは健康に注意して、「知識」と「意識」を持って海外渡航していただくために、海外安全対策をご紹介します。
A.海外安全の為の基礎知識(自己管理・リスク管理編)
1.日本とは違う海外事情
(1)渡航先の十分な知識を持ちましょう
外務省「海外安全ホームページ」を参照し渡航先の治安状況、犯罪の傾向や手口など安全対策等の情報を収集しておきましょう。また、外務省「たびレジ」に登録すれば、渡航先の最新安全情報や緊急事態発生時の連絡メールを日本語で受け取ることができます。また、登録情報は、いざという時に現地の日本国大使館や総領事館が安否確認を行う際にも利用されますので、忘れずに登録してください。また、日本国籍を持つ者が3ヶ月以上日本国外に滞在する場合は、管轄の在外公館(大使館や総領事館)に「在留届」を提出するよう義務付けられています。(旅券法第16条)
外務省「海外安全ホームページ
外務省「たびレジ」及び「在留届」
(2)意識を海外モードに
「意識」を常に海外モードにして注意を怠らないことが重要です。
例えば、海外において、何らかのトラブルに遭遇した際に、よく知らない人を信用してトラブルの仲裁を頼むことなどは、思いもよらない事態に巻き込まれ、予期せぬ経済的負担を負う可能性もあるので、可能な限り親族など信用できる人に相談してください。また、海外では環境の急激な変化等を原因として心身ともに調子を崩してしまい、現地の医療機関での治療が必要となり、思いがけない出費となることもあります。そのため、突然の体調の変化にも対応出来るよう備えておくことも大切です。
2.自分の身は自分で守るための心構え
(1)危険な場所には近づかない
(2)多額の現金・貴重品は持ち歩かない
(3)犯罪にあったら抵抗しない
(4)見知らぬ人を安易に信用しない
(5)買物は信用のおける店を選ぶ
(6)ホテルの中でも安心しない
3.万が一に備える
(1)留守宅家族、親類、友人等との緊急連絡先を必ず所持し渡航する。(不慮の事故、事件、天災等)
(2)滞在地の日本大使館、総領事館の連絡先をメモする。(旅券の紛失等)
(3)滞在地の警察、消防署など緊急電話番号をメモする。
(4)海外旅行傷害保険に加入する。(現地で急病になった場合、病状によっては日本への搬送が必要になり、アジア地域で約500万円~1,000万円、欧州地域で約1,500万円~約2,500万円といった高額請求となることがあります。)
(5)予期せぬトラブル(病気、詐欺、現地事情の急激な変化)に対応出来るように、財政的に余裕を持った準備をする。また、決して無理をせず、早めに日本へ帰国することを選択肢として常に考えておく。
B.感染症と健康管理(食物事故、感染症予防編)
1.感染症・風土病に要注意
海外では、日本ではほとんど心配のない感染症や風土病が流行している国・地域があります。
流行中の感染症や地域特有の風土病については、事前に海外安全ホームページ等で情報収集し、「必要に応じ予防接種を行う」「動物・蚊やダニ等が媒介する感染症については、感染しないための対策(予防薬、蚊帳、防虫スプレー、肌を露出させない服の準備など)を行う」など、それぞれの性質に応じた対策が必要です。
海外安全ホームページ感染症関連情報
2.海外で体調を崩す要因
気候の違い:
<季節> 南半球と北半球で季節が逆
<気温> 日本と比べて暑い地域、寒い地域、一日の寒暖差が激しい地域
<湿度> 砂漠などの乾燥地域、一年中湿度の高い地域
時差: 時差により睡眠不足、体調不良になる場合がある。
食習慣: 現地の水や食事が身体に合わず、体調不良に陥りやすくなります。
精神的ストレス:
言葉が通じなかったり、習慣が違うことが原因でストレスが溜まってしまう人がいます。
3.体調を崩すとどうなるか
(1)現地の感染症・風土病にかかりやすくなる。
(2)交通事故・遊泳事故の原因につながる可能性が高くなる。
(3)注意力が散漫になり、犯罪被害にあいやすくなる。
(4)現地での医療機関での治療が必要となり、想定していなかった経済的負担を負いかねない。
4.体調を崩さないために
(1)適度な食事、生水・生ものに注意しましょう。
(2)十分な睡眠と休養、無理のない旅行日程を。
5.現地の医療事情をしっかりと把握する
海外では、医療技術や設備が日本のような高い水準にないところがあります。また、日本語はもちろん英語も通じない利用施設もたくさんあるので、外務省ホームページ「世界の医療事情」で現地医療機関(日本語、英語対応が可能な機関を含む)の情報を事前に確認ください。
外務省「世界の医療事情」
6.海外旅行保険に加入する
海外では、日本の健康保険を利用することができないため、医療費が非常に高額になるケースが多い。このため、海外旅行保険に必ず加入することをお勧めします。クレジットカードには海外旅行保険特約の付いたものもありますが、補償の限度額やサービスの範囲はカードにより様々ですので、保険内容をしっかり確認しましょう。
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C.テロに対する心構え(テロ対策編)
1.世界各地でテロが発生(日本人の被害も)
※最近のテロの傾向は次のとおりです。
(1)テロが起きるのは、中東・北アフリカ地域だけではない。
(2)テロの対象は、レストラン、公共交通機関、イベント会場など多くの人が集まる場所が増えている。
(3)犯行主体は、インターネットなどを通じて自国外のイスラム過激派思想に感化された国内出身者や、過激派とは組織的につながりが薄い単独犯が増加。
(4)目的は、「ただ世界の注目を引くこと」の場合も。
(5)巻き込まれるだけでなく、テロの標的になり得る。
2.テロの被害に遭わないために
<事前対策>
(1)テロの標的となりやすい場所(軍、警察施設、政府関連施設等)・時期(ラマダン期間等)を避ける。
(2)十分な安全対策がとられている滞在先(施設、ホテル)を選ぶ。
(3)宿泊先、レストラン等では、非常口や退避ルートを確認する。
(4)移動の際は人混みを避ける。防護壁になるものを見つける習慣をつける。
(5)目立つ服装や行動は避ける。
(6)同じ時間、経路を使うといった、予測されやすい行動を避ける。
(7)不特定多数の人が集まる場所(観光施設、イベント会場、レストラン等)での滞在はできるだけ短くし不穏な動き(不審者、不審物)を察知したら、直ちにその場を離れる。
<被害を最小限にとどめるための対策>
(1)決してパニックに陥らない。
(2)爆発音、銃撃音を聞いたら直ちに伏せる。頭部を保護。
(3)頑丈な物の陰に隠れる。
(4)低い姿勢で現場を離れる。現場に決して戻らない、近づかない。
(5)避難が困難であれば隠れる。電気を消す、物音を立てない。バリケードをつくる。
(6)可能であれば、携帯でメッセージを送るなど、外部の援助を要請する。
※安全な場所に避難した後は、できるだけ早く現地の日本国大使館や総領事館へ連絡してください。
その他の詳細につきましては、外務省「海外安全虎の巻」~海外旅行のトラブル回避マニュアル~や、ゴルゴ13の海外安全対策マニュアルをご覧いただき、安全対策に役立ててください。