8月末に8日間、長野県北部野尻湖畔にあるキッチン付の奥信濃山荘に滞在した。仕事を兼ねた滞在であった。信濃町ICを降りて5分で山荘に到着した。
キッチン付の手頃な値段で週単位月単位の滞在ができる宿泊施設は少ないが、当山荘の宿泊料金はリーズナブルで一人も二人も同じ料金である。
山荘は木々に囲まれた傾斜地に建てられている。(写真1)オーナー夫妻の歴史が刻まれた山荘である。階段を上った階にいくつか部屋がある。小生は和室で過ごした。(写真2)同じ階に共同使用のキッチン、洗濯機、風呂場、トイレ、談話室がある。オーナー夫妻の対応できる範囲の客数を受け入れていた。食事付の対応も可能であるが、少し長めの素泊りの客は負担がかからないので、受入歓迎のようである。長期滞在を希望する人のニーズが、山荘の雰囲気やインフラとマッチすれば、選択肢のひとつになるように思われる。
小生が滞在した時期は、夏休みということで、子供連れの2組の家族と数日重なった。キッチンや冷蔵庫は共有なので、互いの使用時間を考え、譲り合いながら使用した。(写真3)近くのスーパーや物産館、道の駅で新鮮な野菜を購入して、朝夕は自炊し、昼は出かけた先のおすすめ料理を食した。信州名物のそばはいろいろな店の味を堪能することができた。
長野県は農産物が豊かである。土産にトマト、トウモロコシ、リンゴ、ジャガイモ等を購入した。そのどれもが多くの品種があるので、どの品種を買おうか迷うほどだった。
この時期は、陸上部の夏合宿がおこなわれていて、涼しい朝夕の時間帯に湖畔周囲を力走する大学生の姿が見られた。スポーツに精を出した学生時代を思い出したが、今の自分の体力を考えると自転車を借りて、湖畔を散策した方がよさそうだ。日中は、ウォータースポーツを楽しむ人々で湖上はにぎわっていた。
野尻湖畔にはナウマンゾウ博物館がある。1948年に湖底からゾウの歯が発見されことがきっかけで、今でも発掘調査が続いている。リユーニュアルされた博物館で太古の昔に思いをはせた。
奥信濃山荘近くの水辺に外国の雰囲気が漂う国際村がある。ここは大正時代にカナダ人宣教師によって、外国人の避暑地として別荘ができたことが始まりだそうだ。野尻湖協会に加入した会員が利用できるそうだ。外国人だけでなく日本人の姿も目にした。
朝夕は涼しい野尻湖畔を散歩した。この山荘を拠点に日中は、観光調査をしたり、周辺の観光資源を巡ったりした。野沢温泉、戸隠高原、志賀高原も近い。楽器や写真、絵画、スポーツ等の趣味があれば、有意義な時間を過ごすことができる。楽器を持参し、涼しい山荘でのんびりと優雅に奏でながら過ごしている方もいた。山荘ではオーナー夫人の指導のもと、陶芸や草木染の体験ができる。
新緑の春や紅葉の秋も楽しめそうだ。妙高赤倉スキー場が近い。オーナー夫妻は、スキー場に近いところに温泉付のリゾートマンションを所有していて、希望すれば入浴も宿泊も可能である。小生も温泉に入った。冬にスキー滞在することもできそうだ。
長野県は気候、自然、観光資源、食と魅力があり、ロングステイ希望アンケートで上位に入る県である。奥信濃山荘は、手頃な値段で利用できる数少ないキッチン付の宿泊施設のひとつであると言える。
(登録ロングステイアドバイザー・黒田 明雄)