昨年、9月末、朝昼晩の3便しかない羽田〜三沢便を利用して三沢空港に降り立ち、2泊3日で八甲田山、奥入瀬渓流、十和田湖を経て青森空港まで、青森県をレンタカーで半分横断してきました。
道路の大半は左右に広がるブナや白樺の枝が頭上まで覆い、晴天なのに木漏れ日程度の山道(それでも一応国道です)ですが、時折パッと視界が開け、一面黄金色に染まった田んぼや、赤や黄色のリンゴがたわわに実ったリンゴ林が続きます。昔は当たり前にあったような景色ですが、最近では目にすることもなくなった景色かもしれません。峠からの眺めは、森が色とりどりに染まり始め、見渡す限り人跡がありません。「まだこんな風景が日本にも残っていたんだなあ」と思わず呟いてしまうような、手つかずの自然そのままの景色です。
山道の両側には聞いたこともない小さな温泉郷が点在しています。こんなところで長逗留するのもいいなと思いながら、今回は温泉リゾートホテルを利用しました。宿に入るとス
タッフが満面の笑顔と行き届いた気配りで迎えてくれました。季節柄、食事はリンゴと帆立貝のオンパレード! 大浴場にまでリンゴのエキスが入ったボディーソープが置いてありました。食卓には他にも郷土色豊かな食材が溢れ、つい食べ過ぎてしまいました。
色づく青い森の国の豊かさを実感しつつ、何度も「一度はこんなところに住んでみたいな」と心の中で呟きましたが、土地の人が聞いたらきっと「住めるものなら住んでみろ!」と怒られるだろうとも思いました。深い雪に閉ざされる冬の暮らしは、都会に住む者には想像もできない厳しい世界に違いありません。それでも〝雪に閉ざされて冬ごもり〞も未知の憧れの暮らしではあります。
ロングステイ調査統計では、青森も東北も国内ロングステイ先としてはかなりの苦戦をしていますが、手つかずの自然、暖かく迎えてくれる人たち、豊かな食を擁する青森は、もっと高く評価されていいのではないか、と考えながら青森空港を離陸しました。羽田までの飛行時間は僅か1時間です。
(登録ロングステイアドバイザー、登録講師 塚田 眞司)