ご存じのとおり、ドイツは地ビールの国です。ビール醸造所は各地で約1,200ヵ所以上、その銘柄は約6千種ともいわれています。普通の周遊観光で醸造所を1~2か所でも回れたら良い方だと思います。ビール好きな方は一か所にロングステイをしながら地ビール巡りをしてみてはいかがでしょうか。
奥が深いドイツのビール事情
ドイツ人の一人当たりのビール年間消費量は日本人の2.5倍ともいわれています。ビール祭りで有名なバイエルン州では一人当たりの消費量が年間240リットルといいますから驚きです。ドイツの地ビールは、種類が豊富で郷土色、風土、気候、歴史や風俗が鮮明に写し出されていてそれぞれ味わいが違います。その意味で日本の地酒巡りに通じるところがありますから興味のある方はぜひ経験してみてください。
ロングステイヤーにお勧めの醸造所をご紹介
ミュンヘンから北東へ30キロほどのフライジングの町にあるヴァイエンシュテファンには、世界最古の醸造所があります。設立は1040年。神聖ローマ帝国時代から1千年近くも途絶えることなくビールを造り続けているというから驚きです。ドイツの醸造所は、修道院の歴史そのものであり、聞くところによれば、修道士の自給自足の一環として、ビールが育まれ、毎日地ビールが修道士たちに振舞われていたようです。
このヴァイエンシュテファンの周辺は、アルプスを見渡せる丘陵地帯が広がり、そこにはレストランも多くあります。濁りビール(ヘーフェヴアイス・ビア)なども飲むことができます。味の決め手は モルトですが、その種類もたくさんあります。黒ビール用、淡色ビール用、燻製ビール用等豊富です。ロングステイをしながら、ビールマイスターを目指すのも良いかもしれません。何しろホップだけでもドイツで栽培されているものは17種類以上あるといわれていますので奥が深いのです。
ドイツには大小様々な醸造所が各地にありますが、ドイツの表玄関フランクフルトから車で南に30分程度行くとダルムシュタットという町があります。一般の観光客はその町を通り過ぎハイデルベルグに行ってしまうのでその町の名前を知らない方が多いのではないでしょうか。ダルムシュタットの中心市街に入るとRatskeller(ラッツケラー)という醸造所があり沢山の種類の地ビールを飲むことができます。メニューで好きな地ビールを選ぶこともできますが、飲み比べビールセット(5種類)もありますので飲み比べたい方にはこのメニューがお勧めです。
もう一つ醸造所をご紹介しましょう。標高2966メートル。ドイツとオーストリアとの国境にあるドイツ最高峰・ツークシュビッツェ。ゴンドラで山頂に行くとレストランがあり、ルートヴィヒ・ドゥンケル(ルートヴィヒ黒ビール)を飲むことができます。このビールは、実はカルテルベルグ(ガルミッシュ・バルテンキルヘンから車で1時間半)にある醸造所で造られています。私はその醸造所に行くことができませんでしたが、カルテルベルグ城(騎士祭りで有名)の中にあるそうです。古代中世のロマンを感じさせるお城の中でビールを飲むのも格別で、旅の楽しさ、思い出を増幅させてくれることでしょう。
このようにドイツ各都市には、実に多くの醸造所があり2~3週間程度滞在できるのであればインターネットで探しながら飲み比べを楽しむ旅を満喫してほしいと思います。初心者は地ビール醸造所が比較的集中しているミュンヘンを拠点にすることをお勧めします。
今回は、ドイツならではの文化・歴史を体感できるロングステイの楽しみ方をご紹介しました。滞在ホテルも探せば安いホテルもたくさんあり長期滞在も可能ですので、欧州は高いからと言ってあきらめないでください。次回はドイツの誇る自転車ツーリズムの旅をご紹介しましょう。
“それでは プロースト!”
(ロングステイアドバイザー・匿名)