皆さんはジョンフォード監督,ジョンウエイン主演の駅馬車という西部劇をご存じですか。
そのハイライトシーンとなったのはユタ州からアリゾナ州にわたるモニュメントバレーというところです。その玄関口のカイエンタという町に大学生40人余りと泊まった約40年前の話です。
18時頃、ホテルにチェックインしようとしたところ,フロントで予約が入っていないと言われました。前日に確認したことを伝えましたが、無いものはないというばかりです。まわりにはスーパーとガソリンスタンド、数軒の民家しかありません。学生たちも不安そうにやり取りを見ています。その時、一人の学生が朝食のためのレストランにウエルカム○○と我々の団体名が記されているのを見つけました。
私は,「朝食の予約があって宿泊がないのはおかしいじゃないか」と指摘したところ、フロントの男性はぶつぶつ言いながら再度確認し始めました。すると「ゴメン! 日にちを間違えて見ていた」と笑いながら言いました。今はインターネットですので瞬時にミスがわかりますが,当時は宿泊台帳で管理していたのでこういうことも起こったのかもしれません。でもろくなお詫びの言葉もなかったフロントマンには本当に腹が立ちました。
こうしたことは海外に出るとよく起こります。ろくに確認しないで『NO』と言ったり、自分が間違えているのに絶対に譲らなかったり、日本人はここで諦めてはいけません。落ち着いて論理的に詰めてゆけば相手も確認しなおすものです。
決して悪意はないのに、仕事に向き合う姿勢であったり、感覚の違いに翻弄させられることの多い海外生活でも、中に飛び込んでしまえば案外順応していけるものです。
大切なことはファースト・インプレッションですべてを決めてしまうのではなく『どうしてこうなるのか?』冷静に分析してみることだと思うのです。そして角度を変えて粘り強く交渉したり、相手の心の動きを観察しながら対応してゆくことが、問題解決の早道かもしれません。
旅行は瞬間的な異空間体験ですが、ロングステイは実生活体験です。自分を通り過ぎてゆく様々な旅行体験と比べ、一定の環境の中に身をおき、限られ期間『そこの人』になるロングステイではなおさら文化・習慣の違いや価値観の相違を体感する度合いが強くなります。異文化に身をおき自己の習慣や価値感と周囲との差異や共通点を見出してゆくことが国際交流でありグローバル化への第一歩だと思うのです。
(ロングステイアドバイザー:匿名)