ベトナムは南北に1200kmと長い国土を持つ国なので、気候は北部中部南部でどれぞれ違う。昨年11月、30度を超える暑い中部の都市ダナンからハノイ経由で北部山岳地帯のサパに行くことにした。サパは中国の雲南省に近く、色とりどりの刺繍の入った民族衣装を着たモン族、ザオ族、ザイ族などが住んでいる。
ハノイの旧市街では多くの旅行会社が少数民族の村訪問やトレッキングツアーを募集している。それらは往復バス利用で数十ドル位から、日本語を話せるガイドが案内する400ドル位のものまであるが、私は往復寝台列車/ソフトベッド(一等寝台)・三ツ星ホテル利用の4日間200ドルのツアーにホテルを通じて申し込んだ。
夜20時過ぎ、ホテルのスタッフがハノイ駅のホームに停まっている寝台列車の9号車まで連れて行ってくれた。清掃と寝台の準備が整うまで20分近く待たされたが、真っ先に入ることができ自分の座席番号9番に座って寝る準備にとりかかる。4人用のコンパートメントだ。
しばらくすると同室の人が来たが何やら怪訝な顔をし、私の切符を見せろと言う。それを見た彼はどこかに消えたが、やがて車掌を連れてきて何が言っている。私の切符を見た車掌は「貴方は9号車で、この号車は9A号車だ。隣の号車へ行け」と言う。
通路は乗客でごった返していたため、一旦ホームに降り外から向かった。9号車の車掌はドアを閉めようとしていたのであわてて乗り込んだが、ほぼ同時に列車が動き出した。コンパートメントは9Aよりきれいな室内だった。
終着駅ラオカイに予定通り6時過ぎに着いた。ラオカイ駅では迎えを探すのに苦労したが、ツアーは棚田の素晴らしさ、少数民族とのふれあいなど忘れがたいものがあり、素晴らしかった。ただ、トレッキングは年寄りの冷や水、自分の体力の無さを痛感した。
最後に寝台列車の印象をまとめると、4人用コンパートメントは奇数番号が下段、ベッドは枕元に証明があるがカーテンはない。コンパートメントの中でスーツケースを広げるスペースはないので、就寝に必要なものは取り出しておく。男女関係なく同室になる。トイレは車両の端にあり清潔だがトイレットペーパーは無くなると補充がない。車掌は車両ごとにいて、終着駅まで寝ていても起こしてくれる。決して悪くはないが、あくまで個人的な感想としておこう。
(ロングステイアドバイザー・上山 裕次)