マレーシア、タイ、フィリピン、そしてハワイなどにロングステイする方は、ゴルフや釣りなど野外スポーツをする方も少なくありません。また、日本のゴルフ場などにおいても虫に刺されることが夏場はけっこうありますが、海外では重症化する虫刺されがあります。夕方や朝の散歩においても蚊やブヨに刺されることもあります。蚊に刺されることで、感染する病気が何種類あるか皆さんはご存知でしょうか?
続きを読む >>まず、東南アジアで一番頻度の高い病気がデング熱です。そして、アジアの一部においても、マラリアがあります。インドネシアから世界に拡がったウィルス性の発熱疾患チクングニアも蚊でウィルスが拡がります。アメリカ本土で拡がったウェストナイル熱、そしてワールドカップの行われたブラジルの内陸部にもある黄熱病も蚊の媒介する病気です。
そして、日本では非常に少なくなっていますが、東南アジアの雨季に流行する日本脳炎も蚊の媒介する病気です。
これらの病気のごく一部には、ワクチンや予防策があります。具体的に黄熱病ワクチン、日本脳炎ワクチン、マラリア内服予防薬などですが、頻度の高いデング熱をはじめ、これ以外の多くの病気にはワクチンも予防薬もありません。
では、どうしたらこのような病気をしっかり防げるのでしょうか?
(蚊に刺されない具体策)
それには、蚊に刺されない対策をとることです。肌の露出している部分には、DEETという成分の入った虫よけスプレーやクリームを塗ります。日本で売られている虫よけには、この成分が14%以下ですが、海外では30~50%の持続時間の長い製品が一般的です。現地で調達するか、旅行外来のあるクリニックで購入していくのも一法です。
そして、ペルメトリンという除虫菊の成分を化学合成した衣服用の防虫剤があります。従来は、このペルメトリンのスプレーやペルメトリン液で自分の洋服に防虫加工するしかありませんでした。
このペルメトリンスプレーなどを日本で手に入れるのが大変なことと、手間がかかることが難点でした。しかし、最近この強力な防虫剤ペルメトリンを繊維に特殊加工して、70回洗濯しても効果の落ちないシャツや網目状ジャケット、ソックスなどが市販されるようになりました。
このペルメトリン付き衣類は、無臭で子供や妊婦にも安全です。そして、その防虫効果は、8時間のアラスカの夏のフィールドテストで、99.9%の防蚊効果が実証されています。この製品インセクトシールドは、蚊以外にもダニ、ハエ、シラミ、ノミなどを防ぐ効果もあります。東ヨーロッパのトレッキングでのダニ脳炎の予防、アメリカ東部の奇病ライム病の予防にも有効です。
どんな病気もかかってからの治療は大変です。蚊をはじめ、“虫に刺されない”ことで予防できる病気がたくさんあること、そして、手軽に購入できるインセクトシールドという防虫衣類のあることを知っておくのも海外滞在のリスク低減知識のひとつです。